とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

情報科教員が育たない理由

情報科教員の採用が進まない理由として、無駄にハードルが高いところがあります。

 

まず、基本的に副免許の所持が必須であること。要は2教科以上の教員免許を取得する必要があるのです。私の場合は、副免許として数学の免許を持っています。(もともとは情報を副免許として考えていましたが・・・)

他の教科と比べて、大学において取得する単位数も当然多くなります。大学の段階で既にハードルが高いのです。

 

何故に複数免許が必要なのかというと、採用する側がそれを求めているからです。自治体での採用もですが、私立の学校でも求めているところはあります。何故に採用する側がそれを求めるのかといえば、情報という教科だけでは担当時間数が少ないから、というのです。

 

公立学校の場合、生徒数は地域によって違います。過疎化の進む地方の学校においては、1年間で週2単位しかない教科のために、専任1人を置くのはもったいないのです。そこで、他教科を兼任させることで担当授業時間数が少なくなりすぎないようにすることが目的なのだと思われます。とはいえ、家庭科や芸術科目など基本的に1年間しか行わない教科は他にもありますが、採用の段階で副免許を要求されるのは情報科くらいです。

 

そして、教育実習です。高校での実習の場合、基本的に母校での実習になることが多いですが、情報科の場合、教育実習の受け入れを断られる可能性があります。理由は簡単で、指導できる教諭がいないからです。授業を担当している教員が専門外のために、実習生に対し指導できる自信がありません。下手すりゃ学生の方が知識があるのではと、及び腰になってしまうこともあります。ちなみに母校で受け入れを拒否された場合は、他に受け入れてくれる学校を探すしかありません。

 

仮に実習生を受け入れたとしても、学生にとって良い実習にならないこともあります。私が勤務していた学校で、情報科の実習生を受け入れたことがありました。しかし、1学年7クラス中5クラスを非常勤講師の私が担当していたために、実習生に多くの授業を経験させることができませんでした。ただでさえ、高校の実習は2週間と短いのに、授業の経験をさせることができなかったのは、残念でした。

 

今思えば、実習生に自分のクラスで授業をさせるべきだったのかもしれませんが、そもそも非常勤講師にそこまでのことをする義務もないし、毎日勤務するわけではないので、責任を持って指導できないので、難しかったと思います。

 

このように、大学の段階で他教科に比べ免許取得までのハードルが高い上に、採用数も厳しく、採用されてからも専門外の教科を担当させられる可能性もある。そんな教科の教員を目指す学生が、果たしてどれほどいるのか疑問でしかありません。