とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

臨時免許という罪

mainichi.jp

 

共通テストに「情報」が追加される可能性が高くなり、各地で情報科教員不足の問題も表に出てくるようになりました。これを機に教員採用が積極的に行われればよいのですが、私は厳しいものだと思っています。

 

このブログでも述べてきたように、志願者がいません。情報系の人材というのは、学校に限らず重宝されます。場合によっては学校教員よりも遥かに待遇のいい仕事も多いでしょう。その可能性を蹴ってまで、あえて茨の道の情報科教員を目指そうとする人がどれくらい存在するのか、という話です。

 

先日、今年度で辞める学校で、私の後任者への引き継ぎがありました。後任の方は、情報の授業を行ったことがないどころか、自身が高校時代に情報の授業がなく、そして情報の教員免許すら持っていないという方でした。要は情報という教科については、まったくの素人なわけです。

 

ちなみに、「免許がなくても大丈夫なの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、教員免許には「臨時免許」というものがあり、申請すれば誰でも教員免許を取得できます。ただし、期間限定という制限はあります。この臨時免許というのが諸悪の根源でもあります。学校としては「授業の質が下がるよりも、免許を持たない人間が教壇に立つことの方が罪」と思ってしまうようになったからです。

 

私の後任が未経験者になってしまった理由は明らかで、もう非常勤講師ですら情報の教員は存在しなくなっているのです。私の知っている情報の教員も非常勤で2校以上掛け持ちをし続けています。その一方で、教員採用に未来が感じられず、情報科教員の道を捨ててしまった人もいました。

 

こういったケースは、自分の場合に限らず、各地で起こっていると思います。もう、待っているだけでは教員志願者は増えません。待遇を改善し、教員採用の間口を広げない限り、情報科の教員問題は改善されることはないでしょう。

 

人材の育成というものは時間がかかります。長い間、情報という教科を軽くみてきた結果が、積もりに積もって大きな山になってきているのです。