とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

情報Ⅰはどの学年で実施すべきか

情報は必履修科目ではありますが、実施する学年に特に制限はありません。現行の「社会と情報」や「情報の科学」については、1年次に実施するのが望ましいとされています。

 

理由は、1年のときにPCスキルや情報の整理やプレゼンスキルなどを身に着けて、探究活動などの学校活動に役立ててもらうためです。またコンピュータ室の使い方を覚える必要もあるので、なるべく高校1年で実施すべきとされています。

 

1年次に実施しないとなると2年次になりますが、授業をする上では決して悪い話でもありません。単純に高学年の方が理解が良いので、思い切って応用的な学習に踏み切ることもできます。特にプログラミングをまともにやろうとすると、ある程度の論理的思考が求められるので、高校数学や英語を1年間勉強してきた2年生の方が、授業しやすい面もあります。

 

また、情報Ⅰの最初の単元は「問題解決」であり、これを高校入学したばかりの生徒に求めるには少し難しいのではないかと思っています。問題解決のテーマをどうするのかにもよりますが、例えば自分の学校の問題をテーマにしたときに、入学したての生徒にはまず無理な相談です。しかし、2年生であれば学校の問題点なども挙げられるようになると思います。

 

そして共通テストの存在ですね。なるべく受験に近いところで履修させたいという考えもあります。3年次に実施では流石に無理があるので、受験を意識するとなると2年次での実施が良いのかもしれません。

 

ただ、問題解決というのは探究活動に限らず、あらゆる教科で求められるようになっています。他教科の授業において問題解決学習というのを充実させたいのであれば、情報Ⅰをなるべく早い段階で実施させておくべきだとは思います。

 

共通テストのことにしても、仮に2年次に実施したとしても、受験を意識した授業展開を行うわけではありません。基本的にコンピュータを用いた実習形式の授業が中心となるし、受験のために座学を増やすわけにもいきません。そうなると受験対策というのは、どのみち3年次に選択科目や課外授業などで対策せざるを得ません。

 

このように2年次で実施するにもメリットやデメリットもあるので、それが正解かどうかは分かりません。個人的には1年次に実施すべきと考えています。やはり、早い段階で問題解決学習やコンピュータ活用を教えて、探究活動や他教科の授業に活かしてほしいと思っています。

 

しかし現実は、他教科の教員から見れば情報Ⅰの内容なんて興味もないし、知りもしないので、カリキュラム編成においては雑に扱われがちです。例えば、社会科で地理が必修になったために、1年次でなるべく5教科を詰め込みたいがゆえに、情報科が2年次に押し出されることもあります。自分が過去に勤務した学校では、進学校にも関わらず3年次に情報科を追いやったくらいですから。他教科の先生から見れば、パズル感覚で科目を設定しているのが、残念でなりません。