その前にやるべきこと
文部科学省がこのようなことを企画しているようです。
情報科の専任が足りないけど、情報の授業は情報の専任がすべき。だったら、複数校掛け持ちさせりゃあいいじゃない、っていう発想です。要は、今まで非常勤講師がやってきたようなことを、情報の免許を持っている教諭にやらせるといった感じです。
少し気になったのが、「高等学校教科「情報」の免許保持教員による」という部分です。つまり情報の免許を持っている他教科の教員に対しての話なのでしょうか?情報科の専任を採用することはもう諦めてしまっていて、他教科とはいえ既存の教諭を酷使することを選んでしまったように思えます。
しかし、情報科の専任が足りない足りないと言っている割に、情報科の教員採用は高倍率という謎があります。情報教育について研究されている中野先生のWebページのデータから、情報科の教員採用試験の合格者と不合格者の数を計算してみました。
すると、
受験者数(志願者数) 536人
合格者(採用者数) 77人
不合格者数 459人
足りない足りないと言いつつ、不合格者数のほうが圧倒的多いという現実です。何故、目先の志願者を切り捨てて、現場の教諭に無理をさせるのでしょうか?足りないなら採用数を増やせばいいのに、それを実行しない理由が分かりません。
私の自治体でも、昨年はたった1人しか採用せず、15人の不合格者が出ました。そのうちの1人が私でもあるのですが、情報教育に対して前向きな志願者を無視して、やる気のない他教科の教諭に授業を担当させているのが現実です。
今回の文科省の案は、個人的には悪くない考えだと思います。やる気のない他教科の教員に持たせるより、専門の教員に持たせたほうが当然良い。そのために、校務の負担を軽減し、勤務形態を見直す。私がその役目を求められたら喜んでやりたいです。そもそも非常勤講師でやってきたことでもありますし。
しかし、その前にやることがあるのではないでしょうか。情報科教員の成り手が少ない中で、非常勤講師という不安定な立場で頑張ってきた先生たちを、まずは採用できるだけ採用してから、このような案を出すべきだと思います。