とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

発表のときの注意点

スライドなどのプレゼン資料作成については、生徒たちはポイントを理解し、良いものを作ってくれます。しかし、せっかく良いスライドを作ったのに、それを一気に台無しにしてしまうのが、間違った発表の仕方です。

 

それは、「原稿を読む」という行為です。どこで仕込まれたのか分かりませんが、特に進学校の生徒ほど、放っておくと発表原稿を作成します。原稿を作ること自体は悪くはありませんが、それをただ読み上げるだけのスピーチを行ってしまうのです。それは、プレゼンにおいて絶対に許されない行為の1つです。

 

nulljapan.jp

 

いろいろな解釈はありますが、原稿を見ながらプレゼンをするのは、完全に聞き手を置き去りにする行為であり、聞き手から見れば「自分たちのことはどうでもいい」と思われてしまいます。話し手の方も、原稿を読むのは聞き手のためでなく、自分が間違えないためということであり、相手に伝えようとする気持ちなど全く無いわけです。

 

考えてもみてください。異性に告白するときに原稿を読みますか?受験や就職の面接で原稿を読みますか?自分の気持ちやアイデアを伝える時は、上手に読み上げることなど左程重要ではありません。言葉が詰まってもいいから、相手の方を見て、自分の言葉で伝えることが何よりも重要です。

 

しかし、授業におけるプレゼンは生徒たちにとって「やらされている」側面が強く、自分の考えを伝えることよりも、失敗をしたくない気持ちの方が勝ってしまい、原稿読みをつい行ってしまうのだと思います。また、学校の先生も生徒に失敗させたくがないゆえに原稿読みを許可してしまったり、そもそも原稿読み自体が悪いものだと思わなかったりして、生徒たちは間違った認識を持ってしまいます。

 

私は、少し乱暴ではありますが、原稿読みを禁止しています。厳密には、原稿読みをするのは自由だけど、評価を最悪にすると伝えます。それでも発表のときにやってしまう生徒もいたりしますけどね・・・。その辺は評価に反映することで気づいてくれるよう祈るしかありません。

 

ただし、実際は殆どの生徒は原稿に頼らず、下手でも自分の言葉でプレゼンをするようになってくれます。もちろん上手に話せない生徒も多いですが、苦手でも一生懸命伝えようとする姿勢は、上手に話すことよりも大事なのだと思います。