とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

H29年度 授業実践 その1 『導入テスト』

こんばんは。

 

気が付けば11月ですが、今年度実践した授業を少しずつ紹介していこうと思います。

 

今年度の最初に行ったのは『導入テスト』という、情報関係の知識を測るための実力テストを行いました。このアイデアのもとは神奈川県で行われていた『情報科導入テスト』です。

 

神奈川県高等学校教科研究会・情報部会

 

問題の内容はコンピュータ操作に関する基本問題が中心です。情報検定(J検)の3~4級程度を意識して作られたそうです。この問題を参考にしつつ、自分で問題を作成したり、J検や各種検定の過去問等から問題を抜粋するなどして、独自に試験を作成しました。

 

これを実施しようと思ったのは、生徒たちの情報関係の知識や技術は年々衰えているように感じ、実際どれほどのものか気になったからです。授業内容を考えるにあたって、生徒の実力の把握は欠かせません。5教科であれば入試の結果や学力調査や模擬試験で実力というものを把握できます。しかし情報に関してはそれができません。そこで自分で試験を作り実施しようと思いました。

 

問題は全部で50問で、すべて4択問題です。解答用紙はマークシートで作成し、採点や分析もすぐに行えるようにしました。マークシートシステムがなければ、年度始めの忙しい時にあえてテストなんてできません。

 

ここで問題の一部を紹介しましょう。

問18「ディフェンス」をローマ字入力するには、どのように入力すればよいか。

①deffensu

②dyifensu

③dihuensu

④dhifensu

 

正解は④ですね。ローマ字入力であれば小さい「い」や「え」を「xi(li)」や「xe(le)」でも可能ですが、いずれも1文字分入力が増えてしまうので、理想的ではありません。

この問題の正答率は23%(280人中)でした。ローマ字は小学校や中学校で触れてはいますが、基本的に自分の名前を書くためのもので、「ディ」や「フェ」のようなローマ字は詳しく触れません。キーボードの文字入力をそれなりに経験しているかどうかがポイントになりますが、正解率から分かるように、経験不足であることが考えられます。

 

問1 次の情報量で一番大きなものはどれか

①4GB

②0.5TB

③320MB

④10000KB

 

正解は②ですね。0.5TBは約500GBです。この問題の正答率は51%でしたが、スマートフォンのストレージやデータ通信料で情報量の単位が身近になっているにも関わらず、この正答率です。

 

問21 カーソルの右側の文字を削除するときに使用するキーはどれか

①BackSpace

②Delete

③Esc

④Brea

 

正解は②です。これの正答率は27%で、ほとんどの生徒はDeleteキーの機能を知らなかったようです。文字などを削除する際はBackspaceキーしか使わないようで、Excelの授業でセルの削除はDeleteキーと教えても、その存在が分らずBackspaceばかり使ってしまい、作業が遅くなる生徒も少なくありません。

 

このように、PCを使っていれば「常識」レベルのことも高校1年生の段階では身についていないことが多いのです。授業者として「これくらいは分かるだろう…」と思って授業を進めると痛い目に遭うことになります。

 

ちなみに正答率の高い問題では

 

問6 パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明に多く含まれる、視力低下などの恐れもあるといわれるものを何というか。

①赤外線

②プリズムライト

ブルーライト

④紫外線

 

正答率は94%でした。スマートデバイスに関する知識はそれなりにはあるようです。

 

しかし、一方で

 

問23 SNSとは何の略か

①セントラル・ネットワーク・システム

ソーシャル・ネットワーキング・サービス

③サクセス・ネットワーク・サービス

ソーシャル・ネットワーク・システム

 

これの正解率は57%でしたが、自身も利用しているはずのSNSが何の略かすらわからないのも半数近くいました。

 

このテストに関しては結果を成績には入れませんでしたが、定期考査の試験範囲という扱いにして、復習してもらおうと思いました。まあ実技科目の試験勉強をする生徒なんて限られてますから、結果は思い通りにいきませんでしたね…

 

導入テストを実施した感想としては、これは毎年実施すべきだと思いました。生徒の状況も毎年変わる状況で、入試や模試もない教科・情報にとっては、これは大きな判断材料になります。年度当初なら生徒も真面目なので、適当に行う生徒も少なく、信ぴょう性のあるデータが取れます。

問題作成や採点や集計がやや負担にはなりますが、マークシートシステムや授業システムを使えばそれほど負担にはならないはずです。

 

情報の担当の先生は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。