とある情報教師の独り言 #2

高等学校の教科『情報』の光と影

2019年度 情報科導入テスト 結果と考察

こんにちは。

 

前回はアンケートについてでしたが、今回はテストの結果についての考察です。

試験はすべて4択の50問。

中学校の教科書に記載されている内容を基準にして、高校の教科書準拠の問題集や各種検定の問題集などから抜粋したり、独自に問題を作成したりしています。

 

まずは得点のデータです。

 

平均:51.5点

最高:86点

最低:24点

 

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得点分布

得点分布はほぼ正規分布です。

平均の前後に得点が集中しました。

 

平均は昨年よりやや下がりましたが、問題も一部変わっているので誤差の範囲内と思われます。ただし、4択問題なので確率で正解することも考えると、理解度は半分もいってないのかもしれません。

 

次に正解率の高かった問題です。

 

(11)インターネットのWebページを見るためのソフトウェアのことを何というか 。( )は選択率です。
メディアプレーヤー(1%)

②Webプレーヤー(3%)

Google(5%)

Webブラウザ(91%)

 

正解はもちろん④ですが、正解率が100%でないことに少し不安を覚えます。でも、少し前はブラウザという言葉も知らない子も多かったです。「ブラウザ起動して」というとザワザワし始めたりもしてましたね。

 

(21)インターネット上の交流などで使われるSNSとは何の略か。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(87%)

ソーシャル・ネットワーク・サーバー(11%)
③ スマート・ネットワーキング・サービス(0%)

④ スマート・ネットワーク・システム(1%)

 

この問題、2年前の正解率は57%でした。正解率が上がっているのは義務教育のおかげなのでしょうか。もしかすると、中学生のスマートフォン所持率がかなり上がってきていて、SNSに対しての関心も上がっているのでしょうか。

 

その他、正解率の高い問題の傾向としては、著作権に関する問題、チェーンメールについて、動画サイトに関する問題などがありました。

 

著作権に関しては意外と意識が高いのかもしれません。しかし実際は、著作権のことを分かっていながら、著作権侵害にあたる行動する生徒は多いです。悪いと分かっていながらやってしまう。ある意味たちが悪いですよね。

 

次に正答率の悪かった問題です。

 

(25) 次のうち引用の用件として誤りを含むものはどれか。
① 他人の著作物の出典を明記することが必要である(7%)
② 引用する著作物が公表されている場合には、事前に許可が必要である(15%)
③ 自分の著作物が主で、他人の著作物が従であることが必要である(51%)
④ 引用について、必然性があることが必要である(28%)

 

正解は②ですが、正解率が15%なので殆ど理解していないのかもしれません。調べ学習をまとめる際に、著作物の引用はあり得るだろうと思います。これは情報の授業で教えるよりは、調べ学習に関わる先生が責任もって教えるべきことではないかと思います。この数値が示すように、義務教育では調べ学習やレポート課題を出す割りに、引用については教えていないように思えます。

 

(37)コンピュータウイルスのパターン情報を収録したものを(  )といい、これが古い場合は新種のウイルスに対応できないため、常に最新の状態に更新する必要があります。(  )に入る語句は次のうちどれか。
①ウイルス検索ファイル(5%)

ウイルスバスターファイル(69%)

③ウイルスメモリーファイル(19%)

ウイルス定義ファイル(7%)

 

正解は④です。インターネット利用やスマートフォン所持も低年齢化が進む今、ウイルスについての教育も早い段階で行うべきではないかと思います。ただし、ウイルスソフトの知識は、自分専用のPCを持たないと中々意識が上がらないものです。PC所持率が上がらないと難しいような気もします。

 

(41)「ディフェンス」をローマ字入力するには、どのように入力すればよいか。
① dhifensu(22%)

② dyifensu(49%)

③ dihuensu(11%)

④ deffensu(18%)

 

正解は①です。恒例のローマ字問題ですが、「ディ」の打ち方が分からない、もしくは「deli」のように小さい文字をLまたはXを使って打つことしか知らない生徒が多いのでしょう。後者の場合はまだ打てるだけマシなんでしょうが、打ち方すら知らないのは問題です。いかにキーボードにふれる機会が少なかったが分かります。

 

(43)入力した文字を「半角カタカナ」に変換するキーはどれか 。
①F6(24%)

②F7(35%)

③F8(19%)

F9(22%)

 

正解は③です。これは自分の名前にフリガナを付けるときに知っておかないと、場合によってはかなり苦労する知識です。文字の変換についてはスペースキーしか分からない生徒も少なくはありません。もちろんそれでも何とかならなくはないですが、漢字を探すのとは違い、明らかにカタカナにする目的がハッキリしてるのに変換に時間がかかるのは、非効率すぎます。この辺も基本事項だと思っていましたが、教えない先生も多いのでしょうか。

 

高校生を教えるうえで気を付けなくてはならないのは「レベルの把握」です。5教科であれば入試があるので、そこで把握ができるのですが、情報に関しては入試がないので把握ができません。

 

そして情報の授業を受けていく上で、ある程度の知識や技術は必要です。Excelを全く使ったことない生徒に対して、Excelで資料を作りなさいと言えません。半角と全角の区別がつかない生徒に対して、プログラミングを教えていくのは非常に困難です。しかし、実際問題そういった生徒が混在する中で授業を展開しなくてはならないのです。

 

生徒からしてみれば「これくらい分かってるでしょ」という教え方をされると非常に困ります。もちろん先生の方だって困ります。なので、指導する上での目安を測るためにも、年度初めの確認テストのようなものは実施すべきなのだと思います。

 

作問は最初だけ大変です。でも作ってしまえば、ある程度は使い回しができます。採点に関しては何とかしてマークシートやコンピュータ教室のアンケート機能を利用するなどして、集計と分析を楽にできるようにしないと厳しいです。ただ、一度システムを作ってしまえば、定期考査にも応用できるので試みる価値は十分にあると思います。